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薬剤師研修支援システム

漢方薬・生薬研修会へのお誘い 

2020年9月

一般社団法人 日本生薬学会  会長 松田 久司

 

  今年に入り、新型コロナウイルス感染症が予想外に広まり、生活習慣や経済活動のみならず教育や研究活動にも大きな影響が生じております。感染予防のため「3密を避ける、手洗いを頻繁にする、マスクを着用する」といったガイドライン的対応だけでなく、人と人の間隔、働き方など様々な場面で新しい生活様式が求められています。特効薬やワクチンが開発され、新型コロナウイルス感染がコントロールされたとしても、以前の状態にもどらないかもしれません。このような状況のもと、今後、各種研修会においては、インターネットを利用した研修やe-learningによる学習が主流となることは明白なことと思います。

  日本生薬学会は日本薬剤師研修センターと共同で、漢方薬および生薬に関する服薬指導や適正な取扱いなど薬学的管理を的確に行える薬剤師の養成を目的とし、漢方薬・生薬認定薬剤師制度を運営しております。現在、3,600名以上の漢方薬・生薬認定薬剤師が医療現場や漢方・生薬業界などでご活躍されております。漢方薬・生薬認定薬剤師となるためには、9日間の講義と薬用植物園実習から構成される漢方薬・生薬研修会を受講し、試問に合格する必要があります。漢方薬・生薬研修会では、以前より、対面での講義とその録画を用いたインターネットで研修が開催されておりますが、今年度は、新型コロナウイルス感染予防のため、やむなく昨年度の録画教材を用いたインターネット研修のみを実施しております。

  厚生労働省の調査によると、2025年には65歳以上の高齢者人口の割合が3割、75歳以上では2割に近づくと報告されています。このような超高齢社会に直面した状況下で、国民の切なる願いは健康寿命の延伸であります。高齢者はいくつもの疾患を患っている場合が多く、1剤で複数の症状に対処可能な漢方薬の役割が期待されています。また、種類は少ないものの、現在、ほぼ9割の医師が漢方薬を用いていると報告されています。このような背景のもと、今後も漢方薬の処方数が増えていくことが予想され、漢方薬や生薬の使用に関して、専門的な提案や服薬指導を行える薬剤師が求められています。

  漢方薬・生薬研修会においては、漢方薬や生薬の解説や適正使用に重点をおき、生薬関連の新しい研究から日本薬局方の改正点まで、「漢方薬・生薬認定薬剤師」の養成に相応しい内容となるように心がけておりますが、より内容を充実する目的で、現在、テキストの改訂を進めております。多くの薬剤師の皆様が漢方薬・生薬研修会を活用し、漢方薬・生薬認定薬剤師として活躍していただきたいと念じております。