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薬剤師研修支援システム

認定取得は社会に向けた責任宣言 

2018年9月
一般社団法人 日本医療薬学会会頭 奥田 真弘 

 

 本年3月に一般社団法人日本医療薬学会会頭に着任しました奥田真弘と申します。

  薬剤師が認定取得の対象とする認定制度は数多く設立されており、いずれも専門領域における知識や技術、学術能力等の面で一定の基準に達した薬剤師を認定することを目的としています。本学会には認定薬剤師、がん専門薬剤師、薬物療法専門薬剤師の3種類の認定制度があり、それぞれ1,527名、578名、40名が認定されています(本年1月現在)。認定薬剤師制度は「薬の専門家として広い知識と熟練した技能を有する薬剤師」を認定しています。がん専門薬剤師認定制度は「高度化するがん医療に対応するため、がん薬物療法に関する高度な知識・技術と臨床経験を備える薬剤師」を認定し、薬剤師の認定制度として医療法上唯一広告可能となっています。薬物療法専門薬剤師制度は発足後6年と、まだ歴史は浅いですが、「幅広い薬物療法領域における高い水準の知識,技術および臨床能力を有しチーム医療の中で薬物療法を実践し、患者利益の最大化に貢献できる薬剤師」を認定しています。薬剤師の活動領域の拡大を背景に、多数の団体が多様な領域の専門性を認定しており、薬剤師全体にとってはキャリアの選択肢が広がることはメリットです。一方で、認定者は一定期間後に更新が求められ、認定を維持し続けることは容易ではありません。

  専門医制度は本年4月に新たな制度が発足し、卒後初期研修から専門認定までが連続的に運営されるようになりました。薬剤師も全国的にレジデント研修制度や相当する研修制度を運用する病院が増加していますが、日本には公的に認められた卒後初期研修制度は存在していません。平成28年度から始まった薬剤師生涯学習達成度確認試験では、5団体の合意のもと認定試験と合格基準が共通して運用されるようになりました。各団体間で異なる制度が一定の基準で横に繋がることは、認定を目指す薬剤師にとって研修の目標を共有でき、メリットと考えられます。

  本学会は病院や薬局を問わず広く医療に携わる薬剤師のための学会であり、薬剤師力の向上を理念の一つとしています。多様化、高度化する薬剤師の業務の質を担保し、薬剤師に対する社会の期待に応えるため、今後も認定制度の見直しや充実を図って参ります。本誌読者の皆様方には本学会の役割と活動に引き続きご理解とご支援をお願い申し上げます。