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薬剤師研修支援システム

医薬品サプライチェーンの延長と公的試験検査機関の活動 

2018年7月
国立医薬品食品衛生研究所長 奥田晴宏 

 

 薬剤師の基本的な役目の一つは適切な品質の医薬品を医療現場に供給する事であると考えますので、医薬品品質を取り巻く最近の状況に関して紹介させていただきます。

  医薬品のサプライチェーンは複雑化し、世界的規模に延長されています。厚生労働省医政局経済課委託事業平成28年度ロードマップ検証検討事業-報告書-(www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000169721.pdf)によると、 日本国内に供給されている後発医薬品のうち、製造工程の一部またはすべてを海外の製造所で行っている原薬・製剤の割合は、それぞれ平均5.23 割および1.05割であり、原薬の半数以上の品目が海外で一部あるいはすべてが製造されています。また中国・インド・韓国がその主な供給元となっています。

  このように延長したサプライチェーンに対応するために、医薬品品質確保も国際的な取り組みが一層必要となっており、我が国も2014年GMP査察の国際組織(医薬品査察協定および医薬品査察協同スキーム(PIC/S))に加盟しました。PIC/Sは医薬品分野での調和されたGMP基準及び査察当局の品質システムの国際的な開発・実施・保守を目的とする、査察当局間の非公式な協力の枠組みです。PIC/Sで定めた基準が、実質的に世界標準となっており、我が国もGMP基準に準じてGMP査察を実施しています。

  PIC/Sは収去した医薬品等の試験検査を行う検査機関は公的機関であることを求め、公的試験検査機関(OMCL,Official Medicines Control Laboratories)としての品質基準を定めています。国立医薬品食品衛生研究所(以下、国立衛研)も我が国がPIC/Sに加盟する際に、OMCLとしての基準に合致するよう品質システムを整備し、PIC/Sから査察を受け、認証されるとともに、その後も毎年厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課から査察を受けOMCLとしての機能を維持しています。

  この体制の下、国立衛研は収去品目の試験検査を地方衛生研究所と共に毎年行っています。後発医薬品の使用促進を図る意味合いから、近年一斉監視指導収去指定品目の数は急増しており、平成28年度、国立衛研は医薬品に関しては23種類,209件の試験検査を,医薬部外品・化粧品に関しては1種類,20件の試験検査を実施しました。さらに昨年1月に発生したC型肝炎治療薬「ハーボニー®配合錠」の偽造品流通事件においては、偽造品の分析を担当しました。このような活動を通じて国内で流通する医薬品の品質確保に、国立衛研も一層貢献して行きたいと考えています。

  なお、国立衛研は昨年10月に東京都世田谷区から神奈川県川崎市殿町地区に移転し、本年3月から本格的に稼働開始しています。