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薬剤師研修支援システム

一番の近道はたいてい一番悪い道? 

2015年1月
理事長 豊島 聰

 

 最近は、車で出かける時、ほとんどナビを使うので、目的地に到着できないことはまずなくなりましたが、ナビは基本的に幹線道路を教えるので、遠回りになることが多々あります。そのため急ぎの時には、近道と思われる道(ナビとは異なる道)を走行してみることがあります。しかし、この選択は往々にして誤りで、道が細くて、対面ですれ違うことに苦労したり、でこぼこのぬかるんだ道で動けなくなったりして、目的地に到着する時間が却って遅くなることがあります。英国の哲学者で、神学者、法学者でもあるフランシス・ベーコン(1561~1626)は、「人生は道路のようなものだ。一番の近道は、たいてい一番悪い道だ。」と言っています。この言葉は、人生のことを例えているもので、道そのものの話ではないのですが、日々の仕事も同じようなことと考えられます。仕事をあまり深く考えずに怠け心で、成果を短時間で求める(近道)と失敗し、時間をかけてスケジュール等をよく練り、成算をもって行ったときはよい成果を得られることが多かったように思います。ベーコンの言うように、仕事についても「一番の近道は、たいてい一番悪い道」であることが多いようです。

 

 ところで、改正薬剤師法及び改正薬事法が昨年施行されました。これらの改正により、薬剤師の業務範囲の広がりと責任が明確化しました。改正薬剤師法では、専門職としての薬剤師が、医師同様の責任を持つことを求めています。薬事法改正の要点は、1)医薬品・医療機器に係る安全対策の強化、2)医療機器の特性を踏まえた規制の構築、3)再生医療等製品の特性を踏まえた規制の構築です。薬剤師は、医薬品の市販後安全対策の要に位置しており、1)の要点では安全対策での責任ある役割を担うことが期待されています。また、地域包括ケアシステム・チーム医療で薬剤師が果たす役割も明確になり、期待も高くなってきています。特に、開局薬剤師は、地域包括ケアシステムにおいて街の健康拠点である薬局において市民に対する健康の相談相手として期待されています。しかし、現状は、医薬分業の進展に伴い、処方箋に基づく調剤業務が、多くの薬剤師の主業務になっています。調剤業務は重要ですが、安易に従来と同様の形態で業務を続ける(近道)ことは、上述の期待に応えることになりません。重要なことは、専門職としての薬剤師が、患者・国民の期待に応え職責を果たしていく為に近道はなく、医療の進歩・環境変化に迅速に対応するための生涯学習に常日頃から励む必要があることを個々の薬剤師が認識することです。