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薬剤師研修支援システム

乳鉢

2014年3月
専務理事 浦山 隆雄

 

 熊本県薬剤師会の方から、くまモンのバッジをいただいた。白衣を着て、乳鉢を抱えている薬剤師のくまモンである。

 私が学生だった35年前は、病院の実習といってもわずかな期間であった。後に聞いたところでは、少し長めの期間をとっていた大学もあったが、私の大学は3日間だった。医学部附属病院の薬剤部へ行き、説明を聞いてから、打錠機などの調剤関連機器を見学し、医薬品混合の実習をした。どんな医薬品を扱ったのか全く記憶がないが、乳鉢に2、3種類の粉剤を入れて乳棒で研和し、できた製剤を薬包紙に包んだ。それを薬袋に入れて、注意書きを書いた記憶がある。また、飛散しやすい医薬品は少量のエーテルで湿らせてから研和するという調剤技術の説明があり、それも実際に行った。無色透明の結晶が、乳棒で潰されて、白色の粉末になっていった。

 乳鉢の使い方で印象深かったのは、使用し終わったら、集塵機で吸引し、溶媒(消毒用エタノールか)で濡らしたガーゼのようなもので一拭きして、それで洗滌が終了となったことである。化学実験の器具は、洗剤を使ってブラシで洗滌し、水で濯いだ後に乾燥機で乾燥していた。器具によっては、水洗い後に硫酸クロム酸混液に一晩浸してから洗滌していたものもあった。このことと比較すると、あまりに簡単に終わったので、驚いた。

 今、調剤に乳鉢はどれくらい使用されているのだろうか。

 私が薬を受け取りに行く薬局で見る限り、多くの医薬品は錠剤やカプセル剤であり、PTPなどの包装がなされている。数を数えて、輪ゴムで束ねれば、調剤終了となる場合も多いだろう。乳鉢で一生懸命研和しなければならなかった労力が不要になった分、それをどこへ振り向けるかが重要である。

 薬剤師の生涯学習のためにと、熱意ある方々が作った日本薬剤師研修センターは、まもなく25周年を迎える。この間に多くの方々の支えがあって、四半世紀の歴史を刻むことができたと思う。科学技術の進展は速い。個々の薬剤師が学ばねばならないことは数多くある。それと同時に、薬剤師の生涯教育を支援する組織も、世の中の変化に応じた変革を迫られている。

 薬剤師くまモンは、長い伝統を持つ乳鉢を抱えつつ、どのような課題に取り組もうとしているのだろうか。