2026年11月
独立行政法人医薬品医療機器総合機構 理事(技監)
田宮 憲一
新規モダリティの新薬の登場、外来化学療法の進展、在宅で療養する患者の増加、ポリファーマシー対策における薬剤師への期待など、薬剤師を取り巻く環境は刻々と変化しています。また、ICT技術の進展やSNSの普及により、患者さんが容易に、しかし、必ずしも正しくない医薬品や疾患の情報を入手できる状況下で、薬剤師に求められる役割はより複雑化、多様化しています。
薬剤師が患者さんごとの様々なニーズに応えていくためには、新薬等の有効性や安全性について、臨床試験成績や医療の実態を踏まえたより深い知識と理解を身に付けるとともに、適切な研修プログラム等を活用した自己研鑽により、専門性を高めていくことが不可欠だと感じています。
例えば、昨年の薬機法の改正により医薬品リスク管理計画(RMP)が法制化され、来年5月に施行されますが、RMPや新薬承認時にPMDAが作成する審査報告書は、臨床試験成績や医療の実態を踏まえて当該医薬品の有効性や安全性、潜在的リスク等をより深く理解するための有用なツールです。
PMDAでは、ウェブサイトでRMPについて分かりやすく解説しているほか、新薬の審査報告書やRMP等を公開しています。患者さんが生成AI等を用いて必ずしも自分の状態にはそぐわない情報を入手する可能性がある中、皆さんには是非RMPや審査報告書を熟読していただき、患者さんに対する適切な薬物療法の提供に活用いただきたいと思います。
また、令和8年度調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師によるポリファーマシーへの包括的介入が服用薬剤調整支援料2(1,000点)として新たに評価され、必要な研修を受けたかかりつけ薬剤師が、患者の服薬状況等に係る総合的な評価を行い、処方薬の調整について文書で処方医に提案した場合(いわゆる薬剤レビューを行った場合)に算定できることとされました。そして、当該研修の受講資格として、日本薬剤師研修センターが実施する薬剤師生涯学習達成度確認試験に合格していること等が定められました。
超高齢社会の下、ポリファーマシーの解消に貢献する薬剤師への期待は大きく、是非、自己研鑽によりこのような高い専門性を習得し、薬物療法の最適化に貢献していただきたいと思います。
上記の例に限らず、医薬品の有効性、安全性に関するより深い知識を有し、患者ニーズを踏まえた対応ができる薬剤師が増えることを期待しています。