2025年10月
一般社団法人日本女性薬剤師会
会長 小縣 悦子
厚生労働省が公表している「令和4(2022)年薬剤師統計の概況」によると、女性薬剤師は増加傾向にあります。女性が多い由縁は、ライフステージやライフイベントに合わせて働き方を選べる点にあるとされていますが、現状はどうでしょうか。
日本女性薬剤師会は、出産・子育て・家事・介護等、働く女性が抱えている諸問題を解決し、支援するための施策や環境整備、医薬分業の推進、薬剤師職能の正しい評価・発展に政治力が不可欠であることを訴え、1966年に組織化されました。2004年 秋島ミヨ先生のご逝去に伴い、近藤芳子先生が第2代会長を引き継ぎ、昨年、その天寿を全うされました。日本女性薬剤師会では、薬剤師として時代の変化をスピーディーに読み取り、会員相互の連携と協調に努めています。今日に至るまで、薬剤師が置かれている状況は、長い歴史とその時代を生きた諸先輩方の努力の上にあることにあらためて敬意を表すものです。
日本女性薬剤師会には、薬剤師の卒後教育に長い歴史があります。2012年12月には、薬剤師認定制度認証機構のプロバイダー(G16)となり、薬剤師に対し、生涯学習を推進して薬剤師の資質及び専門性の向上に寄与し、わが国の医療環境の向上と国民の健康確保に貢献する立場となりました。これからも質のよい研修を展開していきます。
本年6月10日には、「女性版骨太の方針2025」が政府より公表されました。「女性」を語ると「女性自身」からも反発を受ける時代ですが、男女共同参画の重点方針である「女性の起業支援や女性が活躍できる地域づくりの実現を支援する」と共に「性差を考慮した生涯にわたる健康への支援」を実現していきたいと思います。「気づき」は、人によって異なります。自分に関係のないものや経験のないことに対しては気づくことが難しいものです。しかし、「多様な声」と「気づくこと」の大切さを尊重し、「ジェンダード・イノベーション」の概念を取り入れれば、日常生活のみならず、災害の現場でもさらなる活躍を期待できる薬剤師を育成することができると思います。
今後も卒後教育はもちろんのこと、働く女性薬剤師の支援体制整備を国や地方自治体、大学などと連携して様々な事業において実施していきます。引き続き新たなステージに立った日本女性薬剤師会の会務にご理解とご協力を賜りたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。