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薬剤師研修支援システム

春風を読む
- 時代の動きを察知して行動を -  

2024年4月

専務理事 長谷川浩一

 

 令和6年は1月1日に能登半島地震、2日に羽田空港における航空機衝突事故が起こるなど、波乱含みの年の始まりとなりました。被災されました方々には、心よりお見舞い申し上げますととともに、被災地で災害支援等に参加されました薬剤師の方々には大変なご苦労があったかと思います。ここに敬意を表したいと思います。

  さて、同じように年初(1~3月)に、大きな災害などが起きた年があります。平成7年には1月に阪神・淡路大震災があり、3月には地下鉄サリン事件が起きました。平成23年3月の東日本大震災があり、その直後には福島第一原子力発電所の事故が起きました。自然災害と人災が同じような時期に起き、それぞれ社会に大きなインパクトを残しました。世の中の大きな事件や自然災害などが起きるたびに世の中のルールが大きく変わります。同じ事件が起きないように、また、同じ規模の自然災害が起きたとしても被害を最小限にするために対策がたてられます。一方で、災害時における薬剤師の役割の大きさが認められるようになったのは、皮肉な結果なのかもしれません。以前より、薬剤師に対する期待は大きくなっているものと感じています。

  ところで、最近、ルールが厳しい、規制が多いと感じた分野はないでしょうか。人は過ちを犯す動物です。一方で、ルールを作って守らないのも人間です。やむを得ないことでルールから逸脱することはあるかもしれませんが、一部の人たちがルールを無視した行動をとることによりルールはより厳しくされます。規制が多く、ルールが厳しい分野を見ると、過去において多くの問題点があったのであろうと、その歴史を感じるようになりました。周りの状況をきちんと把握し、みんながルールを守り、単純化された過ごしやすい世界となることを期待しています。

  この原稿が出るのは、北風もさり、春一番も吹き荒れた後の春の気持ちのよい風が吹いている頃かと思います。みなさんは、この暖かな春を楽しめていますでしょうか。薬剤師にとっては、災害対応や診療報酬の改定など、年始からいろいろな風が吹き荒れたかもしれません。この激動の時期に生きて行くにはどうしても時勢をよく読む必要があると思います。

  今回の題名を「春風を読む。」としました。別に気象予報士の知識を得なさい、ということではありません。時代の流れを感じ、先んじて準備していくことにより薬剤師全体の地位向上となるように、また、薬剤師の周りは嵐でなく、ここちよい春風が吹いていることを祈念して、このようにしました。よい風を吹かせるためにも薬剤師の日頃からの研鑽が大切と考えています。その研鑽の際に、当財団が少なからずお役に立てるように体制を整備していきたいと考えています。