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薬剤師研修支援システム

 患者から求められる薬剤師に向けて  

2024年2月

厚生労働省 大臣官房審議官(医薬担当) 吉田 易範(Yasunori Yoshida)

 

 昨年7月から厚生労働省大臣官房審議官(医薬担当)を拝命しております。薬剤師の皆様には、日頃から、地域医療の確保や保健衛生の向上にご尽力いただくなど、医薬行政の推進に多大なる御理解と御協力を賜り、まずは厚く御礼申し上げます。

 

  さて、急速な少子高齢化や情報通信技術の発展、新型コロナウイルス感染症が社会に与えた影響等を背景に、薬局・薬剤師を取り巻く環境や、患者から求められる役割は大きく変化しております。

 

 医薬品の販売制度については、昨年2月から12月にかけて、「医薬品の販売制度に関する検討会」を開催し、医薬品のリスクを踏まえ、医薬品の安全かつ適正な使用を確保するとともに、国民の医薬品へのアクセスを向上させる観点から、濫用等のおそれのある医薬品の適正な販売のための方策やデジタル技術を活用した医薬品販売業のあり方等について議論をいただき、具体的な対応の方向性をとりまとめました。今後、とりまとめを踏まえ、必要な制度見直し等に向けた検討を進めてまいります。皆様には、薬に関し身近に相談できる専門家として、一層の活躍を期待しております。

 

 また、昨年1月からは、医療DXの一環として、電子処方箋の運用が開始されました。これにより、患者が直近に処方・調剤された薬剤の薬局・医療機関をまたいだ確認や、重複投薬等のチェックが可能となりました。現在、電子処方箋管理サービスの対象は院外処方に限られていますが、今後、院内処方にも対応し、院内処方・退院時処方に関するデータも登録いただき薬局や医療機関で閲覧できるようにしてまいります。医療安全の観点や医療現場の実態を踏まえながら、引き続き検討を進めてまいります。

 

 その他にも、電子カルテ情報の共有、マイナポ―タルを通じた各種医療情報共有の機能拡大、電子処方箋と連携した電子版お薬手帳の総合的なヘルスケアプラットフォームとしての活用等、医療DXの取組を加速してまいります。皆様には、今後とも、電子処方箋をはじめとした情報通信技術を効果的に活用し、患者に寄り添った服薬指導や他の医療提供施設との円滑なコミュニケーション等、医療サービスの質のさらなる向上へつなげていただくことを期待しております。

 

  薬剤師に求められる役割が多様化する中、皆様には、地域住民との信頼関係を築きながら、地域に寄り添う、かかりつけ薬剤師として活躍いただき、また、関係他職種との相互の理解・連携を通じ、医療の発展に寄与されることを大いに期待しております。そのためにも、このような自己研鑽の機会を通じて知識と経験を培い、健康・医療の現場でその職能を如何なく発揮していただくことを切に願っております。