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薬剤師研修支援システム

 薬学教育モデル・コア・カリキュラム 令和4年度改訂版  

2023年10月

一般社団法人薬学教育協議会
 代表理事  本 間 浩

 

 6年制薬学教育のためのモデル・コア・カリキュラム 令和4年度改訂版が、本年2月に文部科学省から公表されました。平成18年度入学生から適用された6年制薬学教育のモデル・コアカリキュラムは、専門教育部分が平成14年8月に、実習部分が平成15年12月に策定されましたが、その後これら2つを纏め、学修成果基盤型教育の考え方を取り入れた平成25年度改訂版が策定され、平成27年度入学生から適用されています。今回の改訂は2回目となり、令和6年度入学生から適用される予定です。

 今回は、医学・歯学と連携して同時改訂が行われました。医療人としての価値観を共有するために、以下のような共通のキャッチフレーズが策定されました:『未来の社会や地域を見据え、多様な場や人をつなぎ活躍できる医療人の養成』。6年制薬学教育が医療人養成を目的にすることがより一層明確に示されたと思います。また、医師/歯科医師/薬剤師として求められる基本的な資質・能力(10項目)が、三師の間でほぼ同じ項目に共通化されました。

 今回の改訂では、以下の6つの基本方針が掲げられました:1)大きく変貌する社会で活躍できる薬剤師を想定した教育内容の検討、 2)生涯にわたって目標とする「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」を提示した新たなモデル・コア・カリキュラムの展開、3)各大学の責任あるカリキュラム運用のための自由度の向上、4)臨床薬学という教育体制の構築、5)課題の発見と解決を科学的に探究する人材育成の視点、6)医学・歯学教育のモデル・コア・カリキュラムとの一部共通化。なかでも2)3)4)は特徴的です。2)では、「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」が、生涯に渉っての目標として提示されました。3)では、各大学の全学修時間の7割程度となる全大学共通の「コア」の内容が提示され、残りは各大学の理念、ポリシーに基づき自主的に編成されるべきとされました。4)では、疾病の予防や個々の患者の状況に適した責任ある薬物療法が実践できる薬剤師の養成をめざして、大学と医療現場とが連携して低学年から教育を行う体制が提示されました。

 主な内容は、大項目「A 薬剤師として求められる基本的な資質・能力」、「B 社会と薬学」、「C 基礎薬学」、「D 医療薬学」、「E 衛生薬学」、「F 臨床薬学」、「G 薬学研究」から構成されています。

 本誌読者の皆様方には、新しい薬学教育にご支援とご協力をお願いする次第です。なお、ご参考に以下のサイトをご紹介致します。

 

「薬学教育モデル・コア・カリキュラムについて」オンライン シンポジウム:録画オンデマンド配信(モデル・コア・カリキュラムの本文も閲覧可能) https://yaku-kyou.org/?page_id=96