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薬剤師研修支援システム

 薬剤師さんに毎日感謝です。お互いに感謝しましょう。  

2023年8月

公益財団法人 MR認定センター 代表理事 畠 清彦

 

 貴誌2012年6月号に、私の恩師であるMR認定センターの髙久史麿前理事長が「薬剤師研修への期待」と題して寄稿している。医療の現場において最も重要な事項の1つである「医の安全」をテーマに、薬剤師はチーム医療の一員として医薬品の適正使用に重要な役割を担うことから、日本薬剤師研修センターによる薬剤師の研修を今後より強化することが望まれると述べている。

 私から申し上げたいことは、まずは薬剤師さんに感謝申し上げたい。というのは、髙久前理事長の言葉にあるように、医療安全においては、薬剤師業務として処方確認について、Right Patient、Right dose、Right choice、Right duration、Right supportive care、と言った医師だけでは不十分なチェック、病棟及び外来患者への服薬指導、治験のサポート、薬剤管理、など多くの行為がある。チーム医療という言葉が盛んに使用される時代にはなったが、薬剤師の協力がなければ実現できない。

 成績が全てではないが、入学試験の偏差値は必ずしも医学部が最上ではなく、場合によっては薬学部や看護学部、理系の学部の方が上位である状況もある。また、医師がリーダーとも限らない。医学教育に欠けている分野としてコミュニケーション能力、医療安全に対する考え方、コンプライアンスなどがある。勤務時間の制限から、医師に対する研修内容がますますレベルダウンするとともに、収入が良いことから保険診療に関係ない科目を希望する若手も増加している。情けない。早く奨学金は返済したいだろう、最終的には裕福になってほしいが、社会への貢献や患者さん、チームメンバーからの感謝があるかどうかは重要である。苦しい治療を乗り越え、良くなった患者さんがいたからこそ医師という職業を継続できている者が多いと信じたいし、薬剤師も、チームメンバーや患者さんから感謝されることに喜びを感じる者も多いだろう。

 自らのキャリアアップは理想だが、まずは自身のスキルアップによる貢献を目指して欲しい。自分と価値観を共有できる人とチームを作り、激励し合うことが大切といえる。例えばチームを作って新薬を待っている患者さんに少しでも早く届け、安全に使用できると嬉しいものだろう。医療の進歩に合わせた自己研鑽を続けてもらいたい。過ぎてしまった時間は取り戻せないが、いつでも始められることも真実である。 私はこれまでに出会った薬剤師さん全てに感謝している。