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薬剤師研修支援システム

 がん患者や市民の皆様に信頼される薬剤師を目指すために 

2022年10月

     一般社団法人 日本臨床腫瘍薬学会 理事長 近藤 直樹

 

 2022年3月13日に日本臨床腫瘍薬学会の理事長を拝命しました。微力ではございますが、国民の保健、医療および福祉に少しでも貢献していきたいと考えていますので、ご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

 さて本会では、がん医療の進展に伴い拡大、高度化している外来がん薬物療法について、効果的かつ安全・安心にがん患者に受けていただくことを目標の一つにしています。この目標を達成するためには、外来がん薬物療法および関連する分野の知識ならびに技術とがん患者のサポートの能力を備えた薬剤師を養成すること、病院と薬局との連携を更に進めることが必要不可欠であり、2014年には外来がん治療認定薬剤師(APACC)を創設しました。2021年3月時点で900名程度のAPACCを輩出しましたが、薬局薬剤師の占める割合は全体の1/10程度であり、連携を進めるためには薬局薬剤師のAPACC認定者の確保が課題となっていました。このような中、2021年8月に専門医療機関連携薬局(がん)の認定制度が法制化され、本会でも薬局薬剤師の病院での実地研修(がん診療病院連携研修)の導入、本研修を修了した外来がん治療専門薬剤師(BPACC)の創設を行いました。令和4年5月末日現在、300名近くの薬局薬剤師が、がん診療病院連携研修を受けており、そのうち130名を超える薬局薬剤師が同研修を修了しています。また、薬局薬剤師のBPACC取得者(暫定認定者を含む)は120名近くとなっており、さらにこれらの人数は、年々増えていくものと考えています。これはすなわち、外来がん薬物療法および関連する分野の知識ならびに技術とがん患者のサポートの能力を備えた薬剤師の養成は、何とか軌道に乗り出したのではないかと思っています。一方、専門医療機関連携薬局の認定薬局が全国100施設程度にとどまっており、高度化している外来がん薬物療法に対して病院と薬局との連携はまだ進んでいる状況とはいえないと思っています。日本国民の2人に1人はがんになるといわれる時代において、効果的かつ安全・安心な外来がん薬物療法を提供していくためには、高度管理機能を有する専門医療機関連携薬局の拡充、確保は必至と考えています。

 今一度、薬剤師の一人ひとりが、がん患者や市民の皆様に信頼されるための意識を持つことが必要ではないかと考えています。また本会が、がん医療を支える薬剤師にとってのプラットフォームの役割を果たしていきたいと考えています。