2022年9月
一般社団法人 日本病院薬剤師会 会長 武田 泰生
この度、木平健治前会長の後を受け、日本病院薬剤師会(日病薬)の第16代会長を拝命しました武田泰生でございます。微力ながら全力でその重責を果たし、薬剤師の職能の更なる向上とシームレスな薬物治療管理体制の構築に向けて尽力する所存でございます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。
2013年にスタートした社会保障税一体改革は2025年の完成を目指して急ピッチで変革が進められています。医療・介護の領域では「病院機能の分化と連携」「地域包括ケアシステムの構築」を両輪とする地域医療構想が、各地域の実情に合わせて、自治体や医師会を中心に多職種協働により取り組まれています。社会保障税一体改革が宣言された2013年以降、5回の診療報酬改定を振り返ってみると、病院薬剤師に関わる事項としては、2014年に「病棟薬剤業務実施加算」が新設され、今回の改訂に至るまでに病棟薬剤業務の充実と外来診療や周術期医療への参画、さらに「連携充実加算」等における保険薬局薬剤師との連携、そしてタスクシフト・シェアへの対応など、多方面にわたる業務拡大を期待されています。一方、薬局薬剤師については、2017年に発出された「患者のための薬局ビジョン」をはじめ、改正薬機法や厚労省で開催された検討会・ワーキンググループ等において、薬局機能の分化と連携による、より質の高い薬物治療管理の提供体制の構築を期待されています。
近年、遺伝子工学の進歩、ペプチド・糖鎖改変技術の高精度化によって蛋白製剤や抗体医薬が臨床応用されています。さらに、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発にみられるようなmRNAやアンチセンスオリゴヌクレオチドなどの核酸医薬など、最先端の技術を使った多様な構造と作用機序を持つ次世代型の医薬品が急速に普及しています。今後、展開が期待されるAI 創薬、ゲノム医療において、多様化・複雑化するこれらの医薬品を用いた薬物治療を適正に管理できる、高い資質を有する薬剤師が必要となるのではないでしょうか。
日病薬は専門領域の病院薬学認定薬剤師制度ならびに5領域における専門薬剤師認定制度を構築し運用しています。今後も日本薬剤師研修センターと協力して多様で高度な知識が習得できるより質の高い研修の機会を提供し、薬剤師の更なる資質向上に貢献したいと考えています。これからも日病薬の活動にご理解とご支援を賜りますようどうぞ宜しくお願い申し上げます。