2017年8月
厚生労働省保険局 薬剤管理官 中山 智紀
私が厚生省に入省したのは平成6年。私は外から見ていましたが、当時の薬務局企画課では医薬分業の推進が熱いテーマであったと記憶しています。それから23年が過ぎました。この間、薬剤師・薬局に関係する仕事をしたのは、現在以外では、平成19年4月から平成21年3月まで、富山県厚生部くすり政策課長をつとめさせていただいた時だけでした。
その私が昨年6月21日、薬剤師の皆さんと大いに関わりのある厚生労働省のポジションである保険局医療課薬剤管理官に着任したのは意外に思われた方も多かったのではないかと思っています。このポジションは調剤報酬と薬価を担当しますが、ほぼ素人の私です。良い面、悪い面あると思いますが、できるだけ現場の話をお聞かせいただいたり、見せていただいたりしながら、是々非々で調剤報酬と薬価について考えていきたいと思っています。
平成28年度の調剤報酬改定はかかりつけ薬剤師指導料の新設が目玉だったと思います。厳しい医療保険財政の中で、かかりつけ薬剤師・薬局がいかに医療の質の向上、そして、医療費の適正化に貢献できるか大いなる正念場にさしかかっていると認識すべきでしょう。
私も薬学部を卒業して、薬剤師資格も資格だけは持っています。でも薬剤師業務は一度も経験したことがありません。元々は医薬品開発の研究をしたかったのですが、挫折して公務員になりました。自分が薬学部卒業だということを意識しない仕事が多かったのですが、ここに来て、薬学部卒業の方々と接する機会が多くなりました。改めて思うのは、自分もそうですが、薬学部を選ぶ人は「物」からものを発想するタイプの人が多いのであろうと思います。そんな中、「患者のための薬局ビジョン」では薬剤師業務について、対物から対人へ移行させること、そして地域包括ケアシステムの一翼を担うことが打ち出されています。薬剤師の方々の資質は高いと思います。専門性を生かしつつ、地域で飛び回る、顔の見える薬剤師になっていけるかどうかが大事なのであろうと思います。