2014年8月
公益社団法人 日本薬剤師会
会長 山本信夫
平成26年6月29日に開催された日本薬剤師会第83回定時総会において、日本薬剤師会会長に選任された山本でございます。これまで、日本薬剤師研修センターと日本薬剤師会は「薬剤師に対する研修」を通じて密接な関係を維持してきました。私自身も村田先生、内山先生、井村先生そして豊島現理事長と4代の理事長からご指導を頂いてまいりました。
多くの日薬関係者や会員の方々の中には「社会保障や医療保険担当の山本」と思われている方も少なくないのではと思いますが、日薬の役員になる以前に「日薬・生涯教育委員会の委員長」を仰せつかっていたことがあります。当時は、6年制薬剤師養成教育の必要性は議論の俎上に上ってはいましたが、未だ具体的に制度を作るという段階ではなかったと記憶しています。むしろ、薬剤師教育の年限延長を目指す一方で、日進月歩で開発が進む医薬品や医療技術に的確に対応し吸収することが求められる薬剤師にとって、日々の業務をこなしながら、新しい知識を身に付けることは容易なことではなく、業務の合間を縫って継続した研修ができる体制の整備が求められていました。したがって、現在のように6年制と4年制の教育年限の間に生じたギャップを解消するということより、いかにして、現場の薬剤師に継続的な学習の機会を提供するかということが薬剤師会としてのテーマであり、そのためには多くの薬剤師が参加できる「研修システムと興味ある教材」を提供することが喫緊の課題とされていました。
今では会員・非会員を問わず多くの薬剤師が参加している「研修認定薬剤師制度」ですが、当時は必ずしも「薬剤師にとって必須な要件」と認識されていたわけではありません。毎年開催される日薬学術大会で生涯学習委員会が企画したシンポジウムや分科会では「なぜ研修制度が必要なのか?」とか「今更学習なんて!」といった、今では想像もできないような議論が行われていたものでした。そんな時代から「生涯学習の定着」を目指していた、いわば研修制度の老舗である「研修センター」から見れば、都道府県薬剤師会・大学や様々な学会等で研修制度・認定制度が百花繚乱のごとく企画・実行されている今日の姿は、まさに隔世の感があるものと思います。会員の「自己研鑽」の場の提供をともに考え、その実施を「研修センター」にお任せしていた日薬の立場からしても、「研修認定薬剤師制度」の成長は、我が子の成長を見る思いです。
「専門職ならば研修は当たり前のこと」という認識が広く薬剤師の中に定着してきました。年代を問わず様々な研修会・講習会には多くの薬剤師が参加し、自ら進んで知識や技術の維持・向上に向け励んでいます。そうした、多くの薬剤師に対してさらに興味が湧き、一歩でも二歩でも先を見据えた「魅力ある研修プログラム」を提供する役割と期待が、「研修センター」と日薬に向けられているものと思います。このような、我が国の薬剤師の期待に応えられるよう、時代のニーズに適応した研修制度を目指して、「研修センター」と日薬との連携体制をさらに密にしてまいる所存です。