戻る

薬剤師研修支援システム

新たな出発

2012年3月
専務理事 平山 一男

 

 公益法人制度改革において、日本薬剤師研修センターの事業、すなわち、全国の薬剤師の研修実績を共通の単位の付与により統合・集積し、認定へと結びつける「研修・認定事業」の公益性が改めて再確認され、新年度から公益財団法人日本薬剤師研修センターとして新たなスタートを切ります。

 

 新制度において公益法人は、公益目的事業で得た収入は公益目的にすべて還元しなくてはなりませんので、全国の研修会実施機関から得られる研修会登録料や、全国の薬剤師の皆様から得られる研修会参加費・認定料などの収入は、すべて公益目的に支出することにより、原則として赤字決算をすることになります。ただし、赤字を出す一方では財団が萎縮してしまいますので、公益法人には一定の条件の下に収益事業を行うことが認められています。今後公益法人は、公益収入と同程度に公益支出を行って収支相償を図り規模を維持していくか、又は、公益目的事業の赤字を収益事業による収益で補填することにより健全な運営を図ることになります。

 

 公益財団法人日本薬剤師研修センターの収益事業としては、「出版・監修事業」を行います。収益事業には公益目的に還元するための収益性向上が求められることから、出版・監修事業では、研修教材の企画・編集・監修や研修手帳の販売など、従来から実施している事業のほかに、製薬企業等営利団体が主催する研修会についてもその内容を監修する事業を企画しています。営利団体といっても製薬企業など人の生命関連産業では、利益追求のみでなく、患者の健康増進・福祉向上に寄与する企業倫理が謳われており、公益目的に適う研修会も多数開催されているので、一定の制約の下に薬剤師の皆様に利用してもらえば有益なのではないかと考えるところです。収益性の向上により予算が拡大すれば、例えば、在宅医療など先進的な薬剤師活動に取り組んでいる薬剤師に対し研修奨励金を助成する等の公益新事業の可能性も広がります。

 

 来月には六年制卒薬剤師も誕生し、薬剤師の世界に新しい風が吹きます。また、多彩な団体の参入により薬剤師の研修環境が多様化し始め、FIP(国際薬学連合)が提唱するCPD(Continuing Professional Development)の考え方が我が国においてもようやく普及する可能性もあります。個々の薬剤師がそれぞれ自分の役割を常に意識し考えることになります。公益財団法人日本薬剤師研修センターは、老若問わず生涯にわたる研鑽のサポートという観点から、従来の事業の継続を念頭に新たな可能性を見据えます。関わり方は個々に違っても、個々の薬剤師の生涯のパートナーになれればと思います。