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薬剤師研修支援システム

6年制薬学教育を充実させる大きな駆動力 

2018年2月
昭和大学名誉教授 山元俊憲

 

 平成18年に6年制薬学教育が開始されて12年を経過しようとしている。新制度下の卒業も6回を数え、4.5万人を超える薬剤師が誕生している。また、教育カリキュラムは平成18年度より採用された「薬学教育モデル・コアカリキュラム」が平成27年度より「改訂版」となり、「薬剤師として求められる基本的な資質」を設定し、学生の評価についても学習成果基盤型教育の考え方に基づいて、目標達成度を適正に評価するように変更された。本年度には改訂版による教育が学部3年次まで適応され、平成31年度からは新しい方針に沿った実務実習が予定されている。

 医歯看のような医療系学部では、患者を対象とした臨床現場における実習が大きなウエイトを占めている。薬学部でも改訂コアカリに沿った「医療人としての薬剤師を養成するため」、実務実習の充実が大きく期待される。特に、実習の内容や評価に関しては、当事者である大学が実習施設とより強固な連携をするように明示され、大学側の主体性を持った関わりが強調されている。

 質の高い実習については6年制薬学教育の完遂に向かって非常に重要なポイントを有しているが、幾つかの大きな課題がある。なかでも、認定実務実習指導薬剤師の養成は最重要課題である。したがって、指導薬剤師の認定機関である本研修センターの果たすべき役割も大きい。現時点では、認定薬剤師の更新が議論されていると聞くが、各種の薬剤師会関連研修会に参加した経験から考察すると、薬剤師が置かれている自らの問題点に立脚し、自主的に展開できる研修内容が少なく、後輩薬学生の教育まで多くの時間を費やせないのも現実である。

 この様な現状において、「教育の主体は学生である」というワークショップの教えからすると、実務実習の質の改善に関わる駆動力は依頼者側である大学が有していることは自明の理である。規模の大小はあるものの一部の大学では指導薬剤師と積極的な連携を試みているが、大学側に実習施設あるいは指導薬剤師を選択することは出来ない。学内においては各教科の教育評価が行われ、学生あるいは教員仲間の評価を受けて改善を促すことが通常に行われているが、実務実習に関しては、手つかずの感が拭えない。改訂コアカリにおける実務実習の推進にあたっては、大学は全学をあげて実習施設あるいは指導薬剤師と強固に連携した実習カリキュラムを構築し、薬剤師の将来を見据えたカリキュラムの実施、すなわち「問題発見、問題解決」能力を醸成する場として実務実習を位置づけるために踏み出すべきである。

 日本病院薬剤師会の日病薬病院薬学認定薬剤師制度研修カリキュラム「基本的業務の向上を図る」の一つに「教育・研究」が提示され、「質の高い医療人養成を目指した実務実習を支援し、医療の高度化、多様化に対応できる研究マインド」の醸成を目標としている。薬学生のみならず既卒者の再教育は、臨床現場で活躍している薬剤師の大きな使命である。次世代を担う人材養成は臨床現場における薬剤師の役割を大きく飛躍させる。そのための実習あるいは研修は薬剤師の将来を語るのに何物にも代えがたいと評価される時期が既に到来しているように思う。「6年制薬学教育の完成は実務実習にある」とお考えの諸氏は多くおられると実感している。大学が責任をもって実習内容と目標を提示し、指導薬剤師と共有する努力を重ね、修了時には問題発見、問題解決能力の担保された卒業生を大学の責任として輩出することが求められていると痛感している。