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薬剤師研修支援システム

自己研鑽:薬剤師の将来に最も必要なもの 

2017年5月
北里大学 学長 伊藤智夫 

 

   私は、薬学部教授あるいは薬学部長として、薬学教育モデル・コアカリキュラムとその改訂版の策定、薬学共用試験CBTの実施などに関わってきました。この間、多くの方が情熱をもって薬学教育改革に取り組まれ、6年制教育が実現しました。6年制教育の導入から12年目に入り、6年制一期生も30歳を迎えますので、薬剤師の将来へ向けた所感を述べさせて戴きます。

   北里大学ではチーム医療教育に力を入れており、全学的な取組としては1年次の「チーム医療論」(講義)、6年次の「チーム医療演習」、「チーム医療病院実習」があります。このうち「チーム医療演習」は、薬学部、医学部、看護学部、医療衛生学部、保健衛生専門学院、看護専門学校から総勢約1,200名の学生が参加し、ゴールデンウィーク中に2日間にわたって実施されます。各学生は、多職種が混在する10名程度のチームの一員となり、与えられた課題について討議をしてプロダクトを作成し、発表します。この演習の討論風景を見ていると、薬学部の学生が討論を主導するケースが多く見られ、薬学生のコミュニケーション能力やリーダーシップ力が昔に比べて格段に向上していると感じています。現在の3年生は改訂モデル・コアカリキュラムに沿った教育を受けていますので、今後は更なる能力の向上が期待されます。

   このように高い能力を有して卒業する学生が増えていますが、卒業後の仕事の内容を聞いてみると、調剤が主な業務であると答える卒業生が少なくありません。数年前のオックスフォード大学の予測では、薬剤師は将来も残るが、ファーマシーテクニシャンはロボットに置き替わる職業となっています。病棟業務や在宅業務等に関わる卒業生は確かに増えていますが、何年間も調剤業務を主としている卒業生の将来を心配せざるを得ません。解決策は自己研鑽と思います。各自が努力しなければならないことは勿論ですが、職場の協力も必要と思います。看護師の世界では、各職場から大学へ看護師を半年あるいは1年間派遣して教育を受けさせ、認定看護師を養成する制度が動いています。薬学においても、大学と病院、あるいは大学と保険薬局が連携した体系的な自己研鑽プログラムも考えられます。薬剤師の更なる発展のためには、時代を先取りした自己研鑽プログラムの構築が重要と思われます。