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薬剤師研修支援システム

ヒトの気持ちとコミュニケーション

2013年4月
理事長  豊島 聰

 

 過日、テレビで“デフレはヒトがデフレであると感じたときから始まる”ということを言った人がいるという話を聞きました。このことばを聞いてすぐに「病は気から」ということわざが浮かびました。実際、体調がすぐれないと感じて気持ちが抑制されると免疫能が低下することが近年の研究で判明してきています。逆に、プラシーボ効果もよく知られています。最近、認知症の親御さんを介護している方から、通常の勤務先とは異なる所へ出掛けるというと、帰宅の時間は同じと説明しても、親御さんは、不安から体に変調をきたすそうです。あまりにひどい状態になるので病院に行き検査をしてもらっても何の異常も発見されず、医師からそれを告げられると何もなかったようになるそうです。そのため、出かけるときには“いつもと同じ”とだけ告げるそうです。また、帰宅が遅くなった時にも親御さんの体調は悪くなるのですが、このときには、“このような症状のときにお医者さんが飲むようにとおっしゃった薬”と言ってビタミン剤を飲ませるそうです。そうするとしばらくして、症状が消えるということです。認知症の患者さんなので、非常にクリアなのですが、ヒトは気持ちに大きく左右されることがわかります。このことは、不安の解消には、原因となる気持ちをよく理解して、それを解きほぐす言葉をかける必要があることを示しています。すなわち、気持ちを十分理解して話をするコミュニケーション力が重要であると考えられます。

 

 ところで、近年チーム医療(地域医療、介護医療等を含む)の一員としての薬剤師の役割が広がるとともに期待されてきています。しかしながら、現在のところその役割を十分に果たしていえるとは言えないようです。先日、健康な生活を望む一般の方から、“薬剤師さんは薬の選択などについて十分相談に乗ってくれない”という不満を聞きました。多くの場合、医師の処方権の侵害になる可能性があるということで、十分な対応を行っていないようです。しかし、経験豊富な薬剤師は、十分一般の人の健康の相談に乗れる知識・能力を有していると思いますので、相談を受けた方の気持ちをよく理解して、相談に乗り薬剤師の役割を果たし期待にこたえてほしいと思います。そのためには、薬剤師が知識・経験に加え、相談者の気持ちを理解し的確な答えのできるコミュニケーション力をつけることが期待されます。