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薬剤師研修支援システム

一歩進んだ薬薬学の連携

2011年10月
京都薬科大学学長  乾 賢一

 

 質の高い薬剤師の養成を目指してスタートした薬学6年制は、本年いよいよ完成年度を迎えている。コアカリキュラムの見直し、指導体制の強化など解決すべき課題は山積しているが、サイエンス(科学)、アート(技術)、ヒューマニティ(人間性)のバランスのとれた薬剤師の養成に向けて前進していることは間違いない。薬学教育改革を通して、現職薬剤師の意識も大きく変わり、チーム医療が進む中で薬の専門家としてのレベルアップが進み、医師や看護師などからの評価も高まっている。今、薬学・薬剤師に求められるのは、ネガティブな問題点の指摘に終始するのではなく、ポジティブな成果の情報発信であり、プライドと責任であろう。そのためにはすべての薬学人が一枚岩になって社会的責任を果たすことであり、これは薬薬学の連携強化に他ならない。

 

 筆者は病院薬剤師として約30年勤務した後、昨年4月より現職を拝命した。この間、京都府病院薬剤師会会長のみならず、京都府薬剤師会の会長を8年間務めることになった。これは、「薬剤師は一つ」という私の持論と、前任の宮秋 昭会長の情熱的な懇願に加えて、平成14年10月から始まった文部科学省の「薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」の委員として薬学教育の年限延長問題に関わったことが最大の要因である。両会長を務めて初めてわかってきたことは、京都府医療審議会での各種議論、医薬分業のあり方など、薬剤師の重要な業務展開において、二つの薬剤師会に分かれていることが如何に非効率的で不幸なことであるかということであった。年月を重ねるにつれて、両会の副会長以下の役員の間で組織統合の話が持ち上がり、合同事業を重ねるうちに、平成22年4月に組織統合が実現し、会員数約3000人の新たな京都府薬剤師会が発足するに至った。その結果、各委員会活動や支部活動の活発化、学術・研修活動の充実、薬学生実務実習の向上、行政や医療関係団体との連携推進など着実に成果があがりつつある。思わぬ波及効果は製薬企業にも見られる。すなわち病院中心のMR活動から、薬剤師会組織を活用した新たな展開が始まっている。これらはいずれも京都府民の健康増進、病院・薬局のシームレスな医療提供につながるものである。このように、薬剤師会の組織統合による薬薬連携の強化は、薬学6年制とともに薬剤師のモチベーション向上にも繋がっている。今後は薬系大学を加えた薬薬学の連携を強力に推進することによって、病院や薬局で苦労を重ねている薬剤師のレベルアップに拍車がかかるであろう。

 

 京都府薬剤師会の新しい動きについては、今後いろいろと議論を呼ぶであろう。しかし、薬学6年制を成功させるためには、薬薬学の連携強化が緊要の課題であることは論を待たないと思う。この橋渡し役として、薬剤師研修センターの役割は大きいように思う。薬薬学の連携強化を意識した事業展開は十分可能であり、事業内容も一層充実することになるであろう。薬剤師研修センターの更なる発展を期待する次第である。